ここ数年の間で登山を趣味とする人が増えている中で、遭難事故が増えてきました。原因は道迷いと滑落であることが多いようです。この記事ではそうした遭難や事故から身を守るために必ず持っていっていただきたい道具を7つご紹介したいと思います。なお、この記事は日帰り登山を目安としています。宿泊込みですともっと増えます。
遭難事故の現状
下の図をご覧いただくとわかるように、平成23年に比べて令和元年ではおよそ600件遭難事故が増えています。その原因の60%以上は道迷い、滑落、転倒にあると言われています。
最近では定年を過ぎた方が新たな趣味として登山を始めることも多くあるようで、実際遭難事故の50%以上が60代以上の方だそうです。そうした方が体力不足や知識不足のため、事故に遭いやすいということも多いようです。
一度遭難事故を起こしますと、家族に多くの心配をかけてしまうことだけでなく、命の危険もあります。また助かっても多額の捜索費用がかかる場合があります。このような事故を少しでも防ぐために、もしくは起きたとしても被害を最小限に食い止めるために持っていくべきものをご紹介します。
必ず持っていきたいもの7選
まず結論から述べますと、以下の7つになります。(ここにあげるもの以外にも持っていくべきものはありますが、特に重要度の高いものから取り上げています)
- スマホ
- スマホ用バッテリー
- 栄養補助食品、行動食
- 防寒着、雨具、着替え
- ヘッドライト
- 水分、塩分
- 登山靴
1.スマホ
今ではほとんどの人がスマホを持っていると思います。このスマホが一番の命綱となります。一昔前では携帯電話などは山に入ってしまうと途端に圏外になってしまうので、あまり重要ではありませんでしたが、最近では尾根筋に出ると電波がすぐ通ったりします。でも、持っていきたい一番の理由はGPS機能にあります。
登山に行く前にぜひお持ちのスマホにヤマレコや山と高原地図のアプリをインストールして持っていってください。程度はありますが、電波は圏外であってもGPSは生きており、自分の居場所がわかるはずです。
登山中にはこれらのアプリを頻繁に開き、自分の居場所やこれから後どれくらいの行程があるのかを確認しながらいきましょう。
一昔前は方位磁石や地形図、読図の知識が必須でしたが、スマホを持っていくか行かないかで大きな差があると思います。
2.スマホ用バッテリー
スマホとともに必ず持っていきたいのがスマホ用のバッテリーです。できれば3〜5回くらい充電できるものが良いでしょう(多少重いですが…)。
山に入ると結構な時間圏外になりますが、この間スマホは受電のために耐えず定期的に発信するため、バッテリーの消費が激しい傾向があります。それでも日帰りの登山であれば、充電しなくて済むことが多いのですが、何かあった時のために念のため持っていってください。
また寒い時期はバッテリーの消耗が特に激しいので、スマホは体に近い位置で携帯し、バッテリーの消耗を防ぎましょう。
3.栄養補助食品、行動食
また登山中は平地のウォーキングとは異なり、かなりのカロリーを消費します。そのため食べるものがなかったりすると、動けなくなるような事態に陥った場合に重大な事態に発展しかねません。
そうでなくとも、行動中は1時間に1回は飴やチョコレートなどの行動食を口にし、もしもの時のために昼食などとは別に非常食としてカロリーメイトなどの栄養補助食品を持っていきましょう。
ちなみに成人男性が1日に必要なカロリーは2,200カロリー以上と言われています。(農林水産省ホームページより)参考にしてください。
4. 防寒着、雨具、着替え
持っていきたいものとして次にあげるものが、防寒着、雨具、着替えです。なぜこちらの重要度が高いのかというと、登山で気をつけないといけないのが、行動中の体温の調整だからです。夏場でも冬場でも体が冷えることによる低体温症に注意しなくてはいけません。夏場だと、熱中症にも気をつけないといけません。
寒くなっても上に着れる防寒着、雨が降っても風雨から身を守ってくれる雨具、汗でびっしょりになっても着替えられる下着の着替えなどは準備しておきましょう。
またこのことについてはもう少し詳しく別の記事で詳述します。
5.ヘッドライト
たとえ日帰りでも持っていきたいのがヘッドライトです。山中にいますと予期せぬトラブルが発生して下山時刻が遅くなることもあります。(筆者も同行者の体力バテで、暗い山道を歩くことになった経験があります)
日帰りだからと省略せずに必ずザックに入れて山に入りましょう。ヘッドライトにもかなり種類はありますが、登山用品店で買うようにすれば、間違えることは少ないと思います。
6.水分、塩分
どんな登山でも水分なしで山に入ることは自殺行為に等しいと言われます。実際前述したように登山中はかなりのカロリーを消費しますので、汗もかなりかきます。6、7時間の登山で2リットルは消費するといわれています。水分が不足すると、熱中症など体温調節ができなくなり、行動不能や最悪死に至ることもあります。
ただ、体液は純粋な水ではなく、塩分なども含まれた水分であるため、塩分摂取のために塩飴や梅干しなども携行しましょう。
重たい装備ではありますが、水はぜひ2リットル持って山に入ってください。
7.登山靴
一番最後に書きましたが、これもとても重要な装備です。ただ、こちらを省く方は滅多に見かけませんので、最後に書きました。
登山に入る際は必ず登山用品店で、登山用の靴を自分に合うものを店員さんに相談しながら購入しましょう。
山では平で歩きやすい道の方が少なく、岩がゴロゴロしていたり、砂利で歩きにくかったり、ぬかるんでいることの方が多いです。こんな時普通の運動靴だと足にダメージが蓄積されて、疲労が早く溜まる原因にもなります。自分に合った靴を履いていきましょう。
最後に
色々書きましたが、今回この記事でお伝えしたかったのはスマホとバッテリーを必ず持っていて欲しいということです。それ以外は今までにも必需品として様々なところで言われているものばかりです。近年のスマホの役割はずっと大きいものになりました。ぜひこれから山に入る方にはぜひ全員スマホを持っていって欲しいと願うばかりです。
ここまで読んでいただきありがとうございました!