夏の登山でどの様な服装をすれば良いかお悩みではないですか?登山での服装は状況によっては生死を左右することもありますのでとても重要です。
この記事では初心者の方に向けて夏の登山の服装についてお伝えしていますので、ぜひ参考にしてください。
筆者も過去100以上の山を登ってきた経験者ですので、そこでの知見を基に解説します。
登山の服装は重要
どの季節でも登山での服装はとても重要です。場合によっては生死を分けることもありますので、行く前にしっかり準備していきましょう。
夏はどんな服装でも大丈夫と思いがちですが、長時間歩く登山では服装一つで散々な目に遭うこともあります。山は寒く、汗をたくさんかきます。そのことを念頭に夏の登山にふさわしい格好について解説していきます。
登山の服装は生死を分ける!?
山では雨で濡れたり、汗で濡れたりして体を冷やすことがよくあります
濡れた状態を放置すると低体温症になるリスクがあります。早めに汗を乾かして、体を保温しなければいけません。この記事を参考に服の準備をして、安心して登山に行っていただきたいと思います。
観光地化された山などは普段着でも十分なこともあるので、コースなどよく確認しましょう。
徐々に揃えていく
登山用の服装や用品は高価なものもありますので、登山を趣味とするなら徐々に本格的なものを揃えていきましょう。登山が好きな人はそれなりにお金をかけて性能の良いものを揃えていたりします。
いっぺんに全部揃えようとすると高い金額がかかりますから、登山靴意外は普段着ているものやワークマンなどで揃えて行っても低山であればそこまで問題はありません。
⇨【登山初心者向け】ワークマンで揃える!おすすめ登山ウェア6点!
購入する前にレンタルして自分に合ったものを探すというのも一つの方法です。
雪山で必要な登山用品をレンタルすると、費用はどれくらいかかるか?
服装を整えて、危険から身を守る
登山中は自分の体温を保つように準備することがとても大切です。山中では体温を下げる多くの要素があります。
・高所ゆえに気温が下がる。(100m上昇すると気温は0.6℃下がる)
・頂上では風が強く体感温度が下がる。(1m/sで1℃下がる)
・汗が頂上で冷えて、体が冷える。
また、夏の山頂は日差しが強いため、紫外線から身を守るための日焼け予防の対策が必要です。
(参考:山の紫外線、1000m登ると10〜12%増 富士山山頂は地上の4割増)
服装を揃えることは登山を安全にする上でとても重要です。
素材も重要
夏の服装では基本的な素材は化繊やメリノウールです。
ナイロンやポリエステルなどの化繊やメリノウールは汗を吸収し(吸汗)、すぐ乾く(速乾)性能があるため、登山用にはうってつけです。
対して綿(コットン)はNGです。綿製品は吸汗機能はありますが、速乾性はないので体を冷やす原因となってしまいます。登山に着ていくのは避けましょう。
基本はレイヤリング(重ね着)
登山では時と状況に応じて着たり、脱いだり対応することが頻繁にあります。
最初は肌寒くて重ね着して歩いていても、段々と体が温まって暑くなってきます。なので歩き始め10分から30分ほど経つと、一旦立ち止まり、上着を脱ぐのが普通です。
逆に尾根に出て風が強くなれば上着を着ますし、雨が降ればレインウェアを着ます。
このように山中では着たり脱いだりを繰り返して、体温調整します。そのため脱ぎ着しやすいものを準備しておくことが大切です。
暑かったら脱ぎ、寒かったら着る。この繰り返しです。
基本は3レイヤー
登山の服装、特に夏の登山での服装はベースレイヤー(下着、肌着)、ミドルレイヤー(防寒着)、アウトレイヤー(レインウェア)の3種類、それとズボンです。
これらを時と状況に応じて脱いだり、着たりします。以下それぞれ説明していきます。
ベースレイヤー(インナー)
ベースレイヤーは一番肌に密着する肌着です。汗をよく吸い、なるべく早く乾いてくれるような素材を選びます。
基本的には化繊生地、低山や観光地などはジャージなどのスポーツウェアでもOKです。
ベースレイヤーは夏でも長袖が基本ですが、暑いときは防虫、紫外線対策をして半袖を着ることもあります。
ミドルレイヤー
ミドルウェアは登り始めや頂上付近、休憩時など、寒い時に着るウェアです。
フリースやコンパクトになるダウンなどを準備しておきます。
夏でも標高2,000mを超えると頂上付近ではかなり寒くなることもあります。高山に行く際は必ず持っていく様にすると安心です。
アウター(レインウェア)
雪山ではこの限りではありませんが、夏の間は基本的にはレインウェアのことを指します。
レインウェアはその名の通り雨具のことです。登山用のレインウェアは防風、防水に優れるだけでなく、服の中の風通しもよくする透湿性能にも優れています。
雨が降った時、風が強い時、ちょっと寒い時などに着用します。
レインウェアは低山、高山どこに行くかにかかわらず必須です。
トレッキングパンツ
登山用のパンツは登山中に岩をよじ登ることもあるので、伸縮性能(ストレッチ性)に優れたものを選びます。
当然汗をかきますので吸汗、速乾性能も必須です。
トレッキングパンツには防虫、防臭などの機能があるものもあります。
帽子
帽子は夏紫外線や直射日光から体を守るのにとても重要な働きをします。夏場では特に血液の集まる頭が温まらないようにすることが大切です。
山頂では風が強いこともあるので紐付きのものを選びましょう。私も山頂に出た途端あっという間に吹き飛ばされそうになったことがあります。
また虫から身を守るベールや首の後ろが暑くなるのを避けるアイテムもありますので、好みで購入すると良いでしょう。
靴下
登山用の靴下は登山靴と並んで足を守るための重要なアイテムです。地面からの衝撃を軽減するクッションの働きをします。薄手ではなく中厚手以上のものを履きましょう。
素材はメリノウールや化繊で作られたものを選びましょう。登山靴と合わせてピッタリ足に装着できるよう、登山靴と合わせてセッティングすることが大切です。
靴擦れなどが起きると自力で歩くのがとてもつらくなります。登山用の靴下は必ず揃えておきましょう。
その他あるといいグッズ
手袋
登山では梯子や岩を登ったり、枝を避けたりすることがあります。手を守るために必要なのがグローブです。
夏は指が出るタイプのグローブがおすすめです。手がむれず、スマホの操作もできます。
サングラス
紫外線から目を守るのがサングラスです。
真夏の紫外線はかなり厳しく、場合によっては目を痛めることもあります。
雪山では日差しが雪面に反射し目を痛めるので、目をカバーする道具として必須のアイテムです。
ゲイター(スパッツ)
あまり聞き慣れないかもしれませんが、足回りを快適に保つためのアイテムです。
小石が靴の中に入ったり、泥はねなどから足回りを守る働きがあります。
必須ではありませんが、あると雪山にも対応できる便利なアイテムです。
メッシュ生地のアンダーウェア
メッシュ生地のアンダーウェアはこれ単体で着るのではなく、この上に通常のアンダーウェアを着ることで効果を発揮します。
ストローのように素早く汗を表面のアンダーウェアに吸い出します。それによって体が冷えたり、ベタベタすることを防いでくれます。
私も持っていますが、夏場でもシャツがベタつかず、涼しく快適に保ってくれます。おすすめの一品です。
<関連する記事>【超初心者向け】汗冷えをメッシュで快適に!登山用インナーを紹介!
ハイキングタイツ
トレッキングパンツの中に履くタイツです。トレッキングパンツとは異なり、すぐに汗を吸い乾くのを助けるため、より快適な歩行をサポートします。紫外線の下に素足を晒さない働きもあります。
テーピングのような締まりのあるタイツは、その着圧によって筋肉の緩みを防ぎ疲れにくくしてくれます。高機能なものほど高価になります。
短パンとタイツの組み合わせは夏の間よく見る服装の一つです。
レンタルで一通り揃えるのも手
ここまで11種類のアイテムを紹介しました。これだけのものを一気に集めるのは至難の業ですね。
しかもこの中には登山の最重要アイテムの登山靴が入っていません。
一度に全て揃えるのは非常に高額になるので、レンタル屋さんで一式レンタルしてしまったり、高価なものだけ(例えば登山靴やザック、テントなど)レンタルしてしまうのも手です。
登山のウェアはサイズをよく確認しよう
登山の服装についてはユニセックスのものが多いですが、物によってはメンズ、レディースのものもあります。女性用は男性用よりやや小さめのサイズであることが多い様です。
サイズの確認も大切です。大きすぎたり小さすぎたりするとその役割を十分にいかせません。
季節や標高によって服装は違う!夏以外の服装も解説!
ここまで夏山の服装について解説してきました。夏で注意すべきは暑さへの対処と、天候の変化や汗による冷えへの対処が中心でした。それ以外の季節についても基本的にこの2つへの対処が中心ですが、冬には特に冷えへの対処を十分にしなくてはいけません。
真夏の低山1,000m前後(2、3時間程度)
真夏の低山ではとにかく暑さが問題です。5月でも天気がいい日には熱中症になりやすいため、十分な水分補給を取りながらトレッキングしましょう。
登山中は大量の汗をかく上に、湿度が高いため熱中症になりやすいです。服装も大事ですが、こまめな水分補給をしたり、汗がなかなか乾かない場合には着替えることも必要になるでしょう。
宿泊する様であれば防寒具も念の為あった方がいいですが、日帰りであればそこまで必要ではありません。急な天候変化に備えてレインウェアは必ず持って行きましょう。
真夏の高山2,000〜3,000m アルプス、八ヶ岳(宿泊、8時間以上)
アルプスや八ヶ岳などの高山地帯では登山口付近でもかなり涼しいことが多いです。歩行中は暑く、逆に山頂や尾根などでは寒く感じるため、服装の脱着がとても大切です。体温が一定になるようこまめに着たり脱いだりしましょう。
夜間では真夏でも10℃以下になることはザラですので防寒対策もしっかり行いましょう。
春、秋の登山の服装
春や秋では低山でも冷えることがあります。ベースレイヤーは吸汗、速乾性能に優れた長袖シャツを着用しましょう。冷感性能は必要ありませんが吸汗速乾性能は通年必要です。
低山でも休憩時には冷えますので、ミドルレイヤーは必ず1枚持っていく様にしましょう。セーターよりも脱ぎ着しやすいフリースを持ち歩きましょう。
10月半ば〜5月ごろまで高山の場合は積雪していることが多いので、雪山の準備が必要となります。
冬の低山
冬の場合低山でも標高が1000m以上あれば、積雪するほど冷えることがあります。山の情報をよく確認し、十分に防寒対策をしていく様にしましょう。雪が降る様であれば、1000m程度の山でも軽アイゼンなどの装備も必要になります。
ベースレイヤーは長袖のシャツで、その上にもう一枚ベースレイヤーを着たり、化繊のシャツを上に着たりします。
登山靴やリュックの選び方
登山靴は靴底が厚く、防水性の高いものを選びましょう。実際にはいてみて、坂道や凸凹道などを実際に歩いて足に合うかどうか確認しましょう。
リュック(ザック)は行程によって変わってきます。日帰りのハイキング程度であれば30リットル程度まで、1泊であれば50リットル程度、3泊以上の縦走登山であれば70リットル以上が必要です。
こちらも実際に背負ってみて、背中や腰へのあたり方を見ながら購入しましょう。
買ってよかった登山ウェア
ここからは特に拘って過去に購入したウェアについて振り返ります。登山ウェアは色々な種類がありますが、ポイントを抑えて良いものを揃えるようにすると費用の節約になります。全部ブランド物にしなくてもワークマンなどで十分大体できるものもあります。
レインウェア
これについてはゴアテックスのレインウェアでセール中だったものを購入しました。シーズンの終わりあたりに登山用品店にいくとセール中で比較的安く購入できることもあります。
高い買い物だったけど、ウィンドブレーカーの代わりにもなり、年中使用でき、もう10年近く着用しています。流石に水は弾かなくなってきたのでそろそろ替え時かもしれませんけれども。
レインウェアは高い買い物ですが、高性能のものを購入した方が快適に長く使用することができます。
ワークマンの靴下
ワークマンは安価に登山に使用できる、今話題のブランドです。
2足で980円でありながら、メリノウール40%で分厚く、足回りが快適です。高山でもこの靴下で対応できると思います。コスパがとても良く、見かけたら絶対買いの一品です。
ユニクロのダウン
収納袋もついており、かなりコンパクトになります。
軽いのに着るとすごく暖かく、真冬でもこれ一つでだいぶ助けられます。
値段も3,990円でかなりコスパが良いです。
まとめ
今回は夏の登山での服装についてお伝えしました。
登山の準備をする際に必要なものをチェックして、忘れ物のない様にしましょう。
キャンプなどのアウトドアにも私は同様のスタイルで行っています。服装の考え方はアウトドアに共通の知識なんじゃないかな、と私は思います。
服装は登山やアウトドアを快適に過ごす上でも体を守るためにも大変大切です。今回の記事を参考に、快適な登山にしましょう!
登山ウェアのレンタルについては下記の記事で詳しく解説していますので、こちらもご覧ください。
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