タオルは汗を大量にかく登山にいく上で必要不可欠なアイテムです。にもかかわらず、タオルに焦点を当てて商品選びをする機会は少ないのではないでしょうか。
タオルはただ汗を拭くだけのものではありません。登山においては、汗冷えを防ぎ、熱中症から身を守り、装備の結露や湿気を取り除くための道具でもあります。また、下山後の温泉での必需品ともなります。
タオルを選ぶ際には、吸水性、速乾性、形状・大きさ、持ち運びやすさ、防臭性、そして抗菌作用を考慮するとより登山が快適になります。本記事では、これらのポイントに焦点を当て、最適なタオルの選び方と、その活用法について解説します。
登山はとにかく汗をかく
登山は運動強度が高く、大量の汗をかく活動です。具体的には、脱水量は
という式で求められます。例えば、70kgの人が3時間登山した場合、約1リットル以上の汗をかくことになります。この汗を適切に管理することは、登山者のパフォーマンスと体調を保つために非常に重要です。
体温調整と汗の役割
体がエネルギーを使うと体温が上昇し、体はその熱を放出するために汗をかきます。しかし、汗をかくことで体温が下がり、適切な体温を維持します。特に激しい運動を伴う登山では、体温調整が重要となります。適切に汗をかくことができないと熱中症の危険が高まります。
汗を効率的に管理する方法
汗を適切に管理するためには、まず、吸水性の高いタオルを持つことが重要です。度々汗を拭き取ることで汗をかきやすくすることができます。また速乾性の高いタオルであれば、登っている最中に何枚もタオルを用意する必要がなくなります。さらに首の後ろに濡れたタオルをかければ、体温そのものを効率よく下げることもできます。
登山は楽しいアクティビティですが、その楽しさを最大限に引き出すためには、体調管理が不可欠です。その一環として、汗を適切に管理することは非常に重要であり、それにはタオルが大いに役立つのです。
汗を拭いて汗冷えを防止
汗冷えとは、汗そのものによって体が冷える…ということではなく、汗が蒸発する際に気化熱によって体温を奪われる状態のことを指します。汗に濡れたまま放置しておくと汗冷えによって体温が奪われ、風の強い山頂や標高の高い場所では想像以上に体温を奪われることがあります。
体温が35℃を下回ると低体温症の症状が現れ始めます。夏でも高山に登る際には十分に起こりえるので十分に注意が必要です。
こうした状態を防ぐ方法には吸汗速乾性能のあるインナーを着ることや、タオルでこまめに汗を拭うことが挙げられます。休憩中にも汗が拭けるよう、大きいサイズとは別にポケットに入るようなコンパクトなタオルもあるといいでしょう。
首元に巻けば熱中症の防止
冷感のタオルがあれば首元に巻くことで体温を下げる効果が期待できます。夏の低山などではさほど気温が下がらず、また湿度が高いことも併せて熱中症になりやすいので注意が必要です。
熱中症の原因と症状
熱中症は、水分不足や高温が原因で体温をうまく調節できなくなった時に起こります。主な症状としては、めまい、吐き気、筋肉のけいれん、体温上昇、ふらふら歩くなどがあります。これらの症状が現れた場合、すぐに適切な対策を取る必要があります。(参考:熱中症ゼロへ)
首元にタオルを巻くことの効果
首元にタオルを巻くことは、熱中症予防に役立つ効果的な手段です。首には太い頸動脈が通っているため、冷却効果が体全体に広がりやすく、冷たいタオルを当てることで効果的に体温を下げることができます。(参考:弘邦医院)
テントの結露をふく
夏でもテント泊をすると朝テント内が濡れていることがあります。これはテント内が暖かく夜の外気温が低い時にテント表面に近い暖かい空気が冷やされて、結露を発生させるためにおきます。
テント内を濡らしたまま畳んで日中行動すると、次に使用した時にカビ臭くなるため、タオルなどでよく拭く必要があります。そうした際に吸水性の良いタオルがあると重宝します。
テント内の結露は夜の間風通しをよくしておくことである程度予防できますが、それでも発生してしまうこともあるので、タオルを準備しておきましょう。できれば出発前にテントを換気してある程度乾かしておくとなお良いでしょう。
濡れた装備をふく
登山で避けられないのが雨や川の渡渉(としょう)です。どうしても装備は濡れてしまうことがあります。
レインウェアやザックなどは干せればそれに越したことはないのですが、テントなどそうもいかない場合はタオルでざっと拭いて保管することもあります。
頭に巻いて帽子の代わりに
登山では直射日光を頭に浴びないように帽子を持っていくことが推奨されていますが、忘れてしまった場合には帽子の代わりに頭に巻くこともあります。かくいう私もその一人です。帽子ほど頭を日光から守ることはできないもののないよりはマシですし、頭から目に汗が流れることを防いでくれるので重宝しています。
下山後の温泉で
下山後の温泉は登山の楽しみの一つです。その際温泉が出た後に体を拭く用の乾いたタオルと浴室内に持っていくタオルが必要になりますが、私は山で使ったタオルを温泉に入る時に使っています。体を洗う時に使うのと同時にタオルを洗うことができますし、浴室から出る時に体を拭くこともできます。
もちろん浴槽にタオルを入れないのはマナーですのでご注意ください。
登山用タオルの選び方
登山に使うタオルもウェアと同じように性能に注目して揃えると非常に快適なものになります。ここでは登山で向いているタオルを選ぶ際のポイントを6つお伝えします。
吸水性
吸水性とは、タオルが水分を吸収する能力のことです。これは登山などアウトドア全般において重要な性能となります。特に、汗や雨で濡れた肌を拭く際やテント内の結露を拭き取るためには、高い吸水性を持つタオルが必要です。
素材と製法により吸水性は大きく異なります。天然の綿素材は高い吸水性を持ちますが、一方で乾きにくいというデメリットがあります。一方、マイクロファイバーは合成素材ですが、高い吸水性を持ちながら乾きやすいため、アウトドアにおすすめです。
速乾性
速乾性とは、タオルが濡れた状態から乾くまでの速さを指します。登山やアウトドアではタオルがすばやく乾くことが求められます。濡れた状態でタオルを持ち運ぶと、必要な枚数が増えるだけでなく、バッグ内で湿ったままになると悪臭の原因にもなります。
素材と製法により速乾性は異なります。合成繊維のマイクロファイバータオルは速乾性に優れています。
形状・大きさ
タオルの形状や大きさは使用時の便利さや持ち運びの際のコンパクトさに直結します。例えば、大きなタオルは全身を拭くことができますが、その分持ち運びが大変になります。一方、小さなタオルは持ち運びは楽ですが、使用時の範囲が限られます。
どの形状・大きさのタオルを選ぶべきかは、使用目的と携帯の容易さを考慮して選ぶと良いでしょう。フェイスタオルサイズのタオルは汎用性が高く、ハンカチサイズのタオルは軽量で持ち運びが容易です。大きなタオルは下山後の温泉などで体を拭くのに向いています。
持ち運びやすさ
持ち運びやすさは、タオルの大きさ、重さ、折りたたみやすさなどによって決まります。アウトドア活動では荷物を軽量化することが重要であるため、小さく折りたたんでコンパクトに持ち運べるタオルがおすすめです。
カンパックタオルは非常にコンパクトに収納することができ、さらにマイクロファイバー製であれば吸水性も高いのでおすすめです。
また、タオルをバックパックに収納する際には、圧縮バッグを利用するとさらにスペースを節約できます。圧縮バッグは100円ショップでも販売しています。
防臭性
長時間の使用や湿気による悪臭を防ぐためには防臭性のあるタオルが有効です。特に多日間のトレッキングやキャンプなどでは、タオルが臭わないようにすることが重要です。
タオルを選ぶ際には忘れてしまいがちな性能ですが、何日も山に入るのであれば例え速乾性があっても匂いがしてしまっては使用するのを躊躇ってしまいます。
抗菌作用
抗菌作用があるタオルは、細菌の増殖を抑えるために重要です。特に多日間の登山やキャンプでは、清潔な状態を保つために抗菌性のあるタオルが有効です。
タオルを選ぶ際には抗菌作用があるタオルなのかどうかにも注目しましょう。
マイクロファイバー製のタオルで気をつけるべきことは?
マイクロファイバー製のタオルはここまでで述べてきた通り非常に高機能なタオルです。その高い吸水性と速乾性、そして軽さとコンパクトさで収納しやすさが魅力的ですが、実はその使用やメンテナンスには注意が必要な点が存在します。
マイクロファイバー製のタオルは非常に高機能
マイクロファイバータオルは、吸水性と速乾性の優れた性能で、登山からキャンプ、スポーツまで様々なシーンで活躍します。また、その軽さとコンパクトさも特長で、バックパックの中にも無理なく収納できます。
マイクロファイバー製のタオルで気をつけるべきこと
しかし、マイクロファイバー製のタオルには注意すべき点もいくつかあります。
チクチクするのは繊維が細かいから
マイクロファイバー製のタオルは繊維が非常に細かいため、一部の人にとっては肌触りが硬く感じられることがあります。これは個々の感覚に大きく依存するため、一概に言えることではありません。また商品によっては肌触りが良いようにしているものもありますので、購入前によく確認しましょう。
熱に弱いので乾燥機はNG
マイクロファイバーは熱に弱く、乾燥機の使用は避けるべきです。また、洗濯の際の温度設定にも注意が必要です。熱が原因でタオルが縮んだり、繊維が損傷を受けることがあります。(参考)
色が落ちやすいので漂白剤は使わない
マイクロファイバータオルは色落ちしやすいことがありますので、漂白剤の使用は避けてください。また、色落ちを防ぐためには、淡色と濃色のものを別々に洗うことも重要です。(参考)
皮脂が溜まりやすいのでこまめに洗うこと
マイクロファイバー製のタオルは皮脂を吸収しやすく、これが原因で臭いが発生することがあります。そのため、こまめに洗濯をして清潔に保つことが重要です。(参考)
特徴別おすすめタオル紹介
ここからは以上のことを踏まえて、登山におすすめのタオルをご紹介します。
吸水、速乾、消臭効果のあるフジヤマ マフラータオル
フジヤマタオルの専用糸は芯スパンに極細ポリエステル、表面はコットンという複雑な二重構造になっています。コットンが吸収した水分をポリエステルが速やかに発散しますが、素肌にはポリエステルが直接触れない工夫になっています。そのため肌触りがよいにもかかわらず速乾性の高さも兼ね備えています。
日本最大のタオル産地今治のタオルメーカーで作ったタオルで、高い吸水性、速乾性、消臭機能を兼ね備えた一品です。
サイズ | (約)25cm × 100cm |
重量 | 43g |
カラー | もも、らべんだー、わさび、あい、うすみず |
素材 | 綿60% ポリエステル40% |
自重の6倍もの吸収効果 速乾性能もあるシー トゥ サミット テックタオル
肌触りの良いマイクロファイバー製タオルで、自重の6倍もの水を吸収するほどの吸水性を持っています。広い表面積によって速乾性も高く、ボタン付きのループで木の枝などに干すことも可能です。
たっぷりとした厚みがあるので、下山後のお風呂上がりや、雨で濡れた時など、大量の水を拭き取りたい時に向いています。
サイズ | 40×80cm |
重量 | 120g |
カラー | セージ、デザート、バルティック、アウトバック、ムーンライト |
素材 | リサイクルポリエステル80%、ポリアミド20% |
熱中症対策に効果抜群 濡れると冷却効果のあるクールコアタオル
通気性、吸水性が高く、濡らすと冷却効果があるタオルです。熱中症を予防するのに最適なタオルです。
濡らして、絞って、振ることで冷却力が高まる上に、「紫外線保護指数」を指すUPFの値が50+であるため、首に巻けば首元の紫外線対策にも効果があるタオルです。
サイズ | 110cm×30cm |
重量 | 約60g/枚 |
カラー | ブルー、スカイ、グレー、グリーン、ピンク、ラベンダー、パープル、ブラック |
素材 | ポリエステル |
「よく吸い、すぐ乾き、嫌な匂いも残さない」Nakota (ナコタ) アクティビティバンダナ
マイクロファイバー製なので吸水性、速乾性が高く、防菌・防臭機能もある多機能なバンダナです。
バンダナであるため頭に巻いて頭の汗を吸い取らせるのもいいですし、ファッションの一つとしてタオルの予備に持っておくのも良いでしょう。
サイズ | 50cm × 50cm |
カラー | 柄は全部で8種類 立山連峰をイメージ |
素材 | ポリエステル85% ナイロン15% |
アクセサリー感覚で超コンパクトに携帯できる Nrit カムパックタオルM
マクロファイバー製で吸水、速乾性に優れ、写真の通り非常にコンパクトにしまうことができます。さらにカラビナがついているのでカバンに外付けすることもできる。
薄手ですが、顔やちょっとした汗を拭くのに十分な性能があります。タオルとは別にもう一つは持っておきたいですね。
サイズ | 44x44cm |
重量 | 約27g |
カラー | ブラック、ピンク、イエロー、オレンジ、グリーン、ブルー |
素材 | ポリエステル85%、ナイロン15% |
まとめ
今回は登山向けのタオルについてお伝えしました。登山向けのタオルには冷却機能があるものや、吸水性・速乾性が高いものや防臭・防菌性能まで持っているもの、アクセサリーのようにコンパクトに運ぶことができるものもありました。
タオルは家にあるものなので登山に持っていくものとしていちいち購入することが少ないかもしれません。ですが、登山はとにかく汗をかくスポーツですので、今回の記事を参考にして吸水・速乾性能の高いタオルを持っていき、快適な登山をしていただければと思います。