山で雨が降った時に備えてどんな備えをしておけば良いかお困りではないですか?雨は山ではどんなに避けようと思っても避けられないものです。そこでこの記事では初心者の方に向けて、一般的な山での雨対策について詳しく解説していきます。
中止の判断基準や雨対策のための服装などもご紹介していますので、どうぞ最後までご覧ください!
雨対策はとても大事です!
雨が降るとどんなことに注意すべき?
山で雨が降るとどんなことに注意したら良いのでしょうか。具体的には以下の5点です。
・足元が悪くなる
・低体温症のリスクがある
・視界不良による遭難のリスクがある
・川が氾濫することで渡渉できなくなる
・高山では雷の危険性もある。
対策について説明する前にまずは山で注意すべきことについて確認しておきましょう。
予報が晴れでも雨が降ることはある
山の天気は変わりやすいものです。ついさっきまで晴れ間が見えていたとしても、次の瞬間にはあっという間にもやが景色を隠して、雨が降り出すこともあります。
普段生活している市街地とは異なり、頻繁に天候が変化するのが山です。
登山者御用達の天気サイト「てんきとくらす」でA評価だったとしても実際に行ってみると悪天候になることもあります。
完全に雨を避けて山に入ることは難しいため、雨の対策は常にしておくべきです。
足元は不安定になりやすい
雨が降った際にまず注意することは、足元です。岩が濡れて滑りやすくなっていたり、道がぬかるんで足がとられるなど足元は不安定になりやすいのでよく注意して歩く必要があります。晴れの日より疲れますが、その反面登山の経験値は上がるでしょう。
低体温症に注意
次に注意すべきことは体の冷えです。体の冷えに何も対策しないでいると低体温症の心配が出てきます。
低体温症は体温が一定時間冷えることで心身にさまざまな不調をきたし、ひどい場合には生命の危険にも繋がるものです。低体温症を防ぐためには、雨に濡れないだけでなく、汗冷えにも備えなくてはいけません。
視界不良による遭難も注意
雨が降ると標高が高いところでは、霧がかかって視界不良になることもよくあります。そのため視界が悪いことによって、道迷いも起きやすく遭難に繋がることもあります。
景色が見えないため周辺の山から方角を掴むことも難しいこともあり、GPSアプリなどで自身の位置を確認しながら歩みを進めることが大切です。
沢の氾濫によって渡渉ができなくなることも
登山道によっては雨による増水で、川が氾濫し渡れなくなることもあります。麓に比べて、山では雨による増水の影響が即座に現れます。気がついたらもう渡れなくなっていた…という話も登山者の中ではよくあるものです。
雨が最初から予見されている場合、渡渉できなくなる危険性のある道は計画の段階で極力避けることができます。登山地図にはあらかじめ書いてあることが多いのでそれらを確認しておくことが大切です。
どうしても避けられない場合には、1日停滞して翌日渡るか、ロープなどを使って流されないように渡る必要があります。
高山では雷の心配も
高山の場合は悪天候になると雷が発生することもあります。特に夏には頻繁に雷が発生するため、注意が必要です。山頂や尾根筋など雷を避けるのが難しい場合もあるため、雷注意報がある場合には念の為山に入ったり、尾根筋に出ることはやめておくのが賢明です。
過去には雷によって多数の死者がでた重大事故も発生しています。
山では雷は横に走ります!
中止はいつどうやって判断する?
中止の判断はどのようにするべきでしょうか。これは非常に難しい判断です。天気予報がどうであれ、実際に行ってみると雨だったり、晴れだったりしてその時の運も大きく作用します。
しかし、大事なことは少しでも不安を感じたら中止にすることです。その時行けなかったとしてもまた日を改めて行けばいいのです。悪天候で事故に遭うことをあらかじめ避ける慎重さも登山者には求められます。
気乗りしない時は山に入らないのが一番!
雨天でも小雨なら決行もあり
同じ雨天でも小雨程度ならそのまま山に入る人も多い印象があります。中には雨でも嬉々として山に入る強者もいます。
私も天気予報や天気図から見て大降りが避けられるようであれば、入ってから雨が上がることもあるのであえて山に入ることもあります。ただし、途中で下山に切り替えるためのエスケープルートを確認し、雨対策の装備もよく確認してから入るようにしています。
不安な場合には山小屋や登山口の案内所などで、山の状況を聞いても良いと思います。Twitterなどでは山小屋の方が山の状況をリアルタイムでつぶやいてくれていることもありますので、そちらもチェックしましょう。
大雨、台風…中止を決断する時
上記のように小雨でちょっと降るくらいなら山に入ってしまいますが、予報でこれが出たら中止を判断するポイントがいくつかあります。具体的には以下のような場合です。
・大雨の時
・台風が通過、近くを通る時
・断続的に何日も雨天が続いている時
・雷の予報がある時
・強風の時
雨量が多い時は体が濡れるだけでなく、地盤が緩むことで土砂崩れに巻き込まれる心配も出てきますので基本的には見送りの判断をします。
また強風も尾根筋に出ると場合によっては体が吹き飛ばされそうな危険な状態もあり得ますので避けるべきです。JMAの表によると、風速10m/s以上は歩きにくくなり、15m/s以上は歩行が困難となるようです。
中止を決断したら温泉や食事を楽しむのもあり
上記の条件ほどでなくとも、気温が低すぎたりして気が向かない時は勇気を持って中止することも大切なことです。
念の為現地まで行ってから天気を判断することもあるでしょう。それでも気が進まないのであれば中止しましょう。山に対しては臆病な方が、登山を安全に長く楽しむにはちょうどいいと私は思います。
現地まで行って中止にした場合にはそこで温泉を楽しんだり、美味しいものを食べて帰るのも楽しみの一つになります。
そんな時もあるさ〜くらいの気持ちで行きましょう!
雨が降った時に行う対処とは?タイミングが大事
歩いている途中で突然降ってくる雨。歩くことに集中していて天候の変化に気づかないこともあります。雨が降ったらいつどんな風に雨への対処をするべきでしょうか。ここでは雨への主な対策3点を説明します。
立ち止まる
雨が降り始めた時に一番大切なことは、まず立ち止まって状況を判断することです。ずるずる歩き続けているといつの間にか体も荷物も濡れてしまうこともあります。面倒でも立ち止まってしっかり雨への対処をしてから歩行を続行しましょう。
レインウェアを着る
まず体を守るためにレインウェアを取り出して着ましょう。ザックのどの位置に入れているか把握しておくことが大切です。
レインウェアは上は問題ないと思いますが、ズボンの方は靴を履いたままで着用することになるので、事前に練習しておくと良いでしょう。
スパッツを装着する
雨で足元が濡れるのを防ぐためにスパッツを装着します。ここで登山で「スパッツ」とは足元を守るための道具のことを指します。
ズボンの裾が濡れるのを防いでくれたり、靴の中が濡れるのを防いでくれます。登山者の中にはあらかじめ履いて山に入る人もかなりいます。
レインカバーをつける
ザックを雨から守るためレインカバーをつけます。レインカバーはザックに備え付けていることもあれば、別売りで買う必要があることもあります。事前に確認しておきましょう。
レインカバーがないと荷物がそのまま雨ざらしになってしまいます。必ず用意しましょう。
止んだら脱ぐ
雨が止んだようであればレインウェアはすぐ脱ぎましょう。どんなに透湿性が良くても、着ていない状態よりも汗をかきやすくなっているため中が蒸れてしまうからです。レインカバーやスパッツはそのままでも構いませんがレインウェアは雨が止んだら脱ぎましょう。
雨対策グッズを準備しよう
雨対策のために必要となる7点のアイテムをご紹介します。特にレインウェア、レインカバー、スパッツ、インナーは日帰り登山でも用意しましょう。
レインウェアは防水性だけでなく、透湿性も大事!
レインウェアは雨から体を守る登山用品の必須装備です。レインウェアを選ぶ際には雨を防ぐ機能だけでなく、蒸れを逃す透湿度も大切です。登山用としては耐水圧は10000mm以上、透湿度は8000g/m2/24h以上が推奨されています。
購入の際には防水性、透湿性に優れたものを買いましょう。高い買い物ですが、きちんとケアすれば長持ちしますので、これから山を楽しもうという方はぜひ揃えましょう。
ちなみに傘は登山歩行中は手が塞がるため使いません。
古いものは防水加工が必須!
古くなったり、何度も使っているレインウェアやレインカバーは防水、撥水性能が落ちています。水にしみてしまうと全く雨を防ぐ機能を果たしてくれなくなります。私自身機能しないレインウェアで全身ずぶ濡れになったことがあります。
そこで防水スプレーや防水洗剤で防水性を補強します。スプレーはかけた部分しか防水されませんが、防水洗剤なら、隈なく防水加工できるのでおすすめです。※防水洗剤は説明をよく読んで使うようにしましょう。洗濯機を破損することがあります。
レインカバーでザックを守る!
レインカバーがあれば荷物を濡れから守ることができます。雨でザックの中身が濡れたら着替えまで濡れてしまい、低体温症になるリスクが高まります。
装着によって荷物は出しにくくなりますが濡れることには変えられません。必ず準備して雨に備えましょう。
足元を守るためにスパッツをつける!
足元の濡れを守るのはスパッツです。こちらは小物ですが、靴の中やズボンの裾が濡れないように機能してくれます。装着には慣れが必要ですので、山に入る前に練習しておきましょう。
グローブで指先を守る!
指先が冷えるとかじかんで不自由になります。体のほとんどはレインウェアで守れますが、唯一守られていないのが手先です。防水グローブがあれば雨の際に手先を冷えから守ることができます。
帽子で視界を広げる!
レインウェアのフードだけだと顔面が雨に打たれることもあります。それを防ぐために帽子で雨が顔に当たるのを防ぎます。帽子は手持ちのもので構いませんが、雨にも対応できるよう帽子加工されたものなら安心です。
メッシュの速乾性インナーで冷えを防ぐ!
汗冷えによる身体の冷えを防ぐために速乾性のあるインナーを着るようにしましょう。メッシュのインナーであれば素早く汗を外側に逃がして、より快適に体を冷えから防いでくれます。気化熱による冷えも防いでくれるので、そのままインナーを着るよりもより快適になります。
雨登山も楽しい!
ここまでは登山を中止する判断基準や、雨対策についてご紹介してきました。雨は登山においては悪いことばかりのようにも見えますが、見方によってはしっかり対策さえしていれば、雨の日の登山を楽しむことにも繋がります。
静かでしんしんとふる雨を楽しむ
雨が降っている時は登山客も少なく静かな登山が楽しめます。晴れの日のように広々とした景色は楽しめませんが、山肌からもやの出てくるところや、雨に打たれる岩、雨つゆに濡れる高山植物など普段と違う景色も楽しめるという見方もできます。
山は天候の変化によっても違う姿を見せてくれます。登山に慣れてきたら小雨の登山も楽しみましょう。
雨を楽しむ余裕を持ちたいですね
雨の山で装備の大切さを知ろう
登山を長く続けるには雨の経験も大切です。雨の登山を経験すると普段使わないレインウェアやレインカバーなどのありがたみがよくわかります。
できれば高山に行く前に地元の山で雨の経験をしておくことをおすすめします。アルプスに入ってから慌てるよりも、手頃な山で一度経験しておいた方が、万が一失敗した時にもすぐに撤退できるからです。
まとめ
今回は雨対策について記事を作成しました。この記事を作成しようと思ったのは先日久しぶりに山に行ったら雨に降られて、私自身が散々に濡れてしまったからです。いやあ、舐めてました(汗)。原因は防水性能の落ちたレインウェアとレインカバーによるものです。大変反省いたしました。
本当に寒くてきつかった…
幸いにして低体温症になる前に下山できたからよかったものの、一歩間違えたら事故につながるところでした。その反省を次に生かせるよう記事として作成しました。
反省はしたものの、雨の山にもまた違った美しさがあると再確認もできました。次回はしっかり対策して雨でも安全に楽しめるよう、対策をして臨みます。
この記事以外にも山に関する記事を書いております。ぜひ他の記事も読んでいただけたら幸いです。